親の家を売る方法と注意点!税金対策や手続きを徹底解説コラム
親の家を売ることが決まった際には、「具体的な売る方法には何があるのか」「注意点や税金関係はどうなるのか」などを考えるでしょう。
親の家を売る際には、まずは不動産会社へ依頼することが一般的ですが、状況に応じて方法が異なります。
本記事では、親の家を売る方法と注意点を中心に税金関係についても解説しているため、ぜひ最後までご覧ください。
親の家を売る方法と注意点
親の家を売ることが決まった場合、状況に応じた方法で必要な対応と手続きを行わなければなりません。
ここからは、以下2つを詳しく紹介しましょう。
- 親の家を売る方法
- 親の家を売る際の注意点
親の家を相続する際の対応についても解説しています。
親の家を売る方法
親の家を売る方法には、以下3つの方法があります。
- 名義変更をして売る方法
- 親の代理人になって売る方法
- 成年後見人制度を利用して売る方法
各項目と注意点について、詳しく解説しましょう。
名義変更をして売る方法
親の家を売る際に、名義変更をして売る方法があります。
家の名義人である親が亡くなった場合は、相続登記により名義変更を行うことで、子どもが家の所有者として売却が可能です。
家の相続登記を行うまでの流れは、下記を参考にしてください。
- 死亡届の提出
- 相続人と財産の関係調査
- 遺言書の有無の確認
- 遺産分割協議による相続人の決定
- 法務局へ相続登記の申請
相続登記の申請内容に不備があった場合、余分な相続税が課される可能性があるため、注意しましょう。
個人で記載することに不安がある人は、弁護士や司法書士などへ相談することがおすすめです。
親の代理人になって売る方法
親の家を売る際に、親の代理人になって売る方法があります。
親本人が年齢や健康上の理由で、家の売却活動が不可能な場合は、子どもが代理人として売却可能です。
ただし、親が家の売却に承諾している前提となるため、代理人になる際は親本人の記名押印がされた委任状を用意しましょう。
不動産会社に家の売却依頼をした場合でも、委任状の作成を行ってもらえます。
成年後見人制度を利用して売る方法
親の家を売る際に、成年後見人制度を利用して売る方法があります。
成年後見人制度とは、判断能力が失われた本人に代わり、財産などを管理するための後見人を立てる制度です。
親が認知症や精神疾患などで判断能力が失われた場合、親本人が家の売却判断を行えないため、子どもが代わりに家の売却を行えます。
親の家を売る際の注意点
亡くなった親の家を売る場合は、相続手続きを終えてから売却を行う必要があります。
相続と売却の注意点は、以下のとおりです。
- 共有名義での相続
- 契約不適合専任
各項目について、詳しく解説します。
共有名義での相続
親名義の家は、複数人で相続することができます。
ただし、不動産の解体や売却を行う際に、相続名義人全員の同意が必要になるため、1人でも反対者がいると手続きが進みません。
また、相続人1人が亡くなると、次の代に相続されるため名義人が増えてしまいます。
共有名義の相続後に親の家を売却する場合、時間がかかるほど手続きが複雑になるため、注意が必要です。
契約不適合責任
契約不適合責任とは、不動産の契約書に未記載などの不備が発覚した場合、売主へ修理費用・損害賠償・契約解除などを請求できる権利です。
親の家を相続した場合、家の状態を把握していない可能性もあるため、売却後に損壊などが発見されるとトラブルになるケースがあります。
相続した親の家を売る際は、事前調査の依頼や不明点などを不動産会社へ相談しましょう。
親の家を売る際の税金対策と節税特例の活用方法
親の家を売却する際には様々な税金がかかりますが、減税の制度も定められているため税金対策として、活用しましょう。
ここからは、親の家を売る際の税金対策と、節税特例の活用方法について解説します。
親の家を売るときにかかる税金
親の家を売る際にかかる税金は、以下のとおりです。
- 譲渡所得税(所得税、住民税)
- 相続税
- 相続登記時の登録免許税
各項目について、詳しく解説します。
譲渡所得税(所得税、住民税)
不動産の売却の際、譲渡所得税がかかります。
譲渡所得とは、土地や建物などの資産を譲渡することで、生じる所得のことです。
譲渡所得は、「譲渡所得 = 売却価格 -(取得費 - 譲渡費用)」で算出します。
- 取得費:不動産の購入時の費用・仲介手数料などと減価償却費
- 譲渡費用:売却の仲介手数料や印紙税・解体費用などの諸費用
また、譲渡所得税は、不動産の所有期間により税額が異なります。
- 長期譲渡所得(5年超):20.315%
- 短期譲渡所得(5年以下):39.63%
相続した家を売却した場合は、被相続人の所有期間を基に計算します。
相続税
親の遺産を相続した場合、10〜55%の相続税がかかりますが、相続財産から基礎控除を差し引いた額が課税対象になります。
基礎控除の計算式は「基礎控除:3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の人数」です。
また、相続人が複数人にいた際は、相続割合に合わせて割り振り、控除を引いた金額に税率がかけられます。
相続登記時の登録免許税
相続登記時には、登録免許税の納付をしなければなりません。
登録免許とは、土地や建物の購入者が所有権の登記手続きを行った際に納める税金のことです。
登録免許税は、登記の種類によって税率が異なり、「固定資産税評価額 × 0.4%」の式で納税額を算出します
節税対策に活用できる特例
節税対策に活用できる特例として、以下が挙げられます。
- マイホーム売却:3,000万円特別控除の特例
- 空き家売却:3,000万円特別控除の特例
- 住宅に係る登録免許税の軽減措置
各項目について、詳しく解説します。
マイホーム売却:3,000万円特別控除の特例
マイホームの売却を行う場合、最大3,000万円特別控除の特例が利用できます。
家の所有期間に関わらず、売却の際に譲渡所得が3,000万円を超えなければ、税金がかかりません。
また、売却した年の前年〜前々年に特例が適用されていた場合は、利用不可です。
マイホーム所有期間が10年以上であれば、軽減税率の特例が併用できます。
相続空き家売却:3,000万円の特別控除の特例
相続空き家の売却を行う場合、譲渡所得から3,000万円までを控除できる特例を利用できます。
また、売却の際に、譲渡所得が3,000万円を超えていなければ税金がかかりません。
ただし、空き家は以下の要件を全て満たす必要があります。
- 昭和56年5月31日以前に建築されている
- 区分所有建物登記がされていない建物である
- 相続の開始直前において、被相続人以外の居住者がいない
住宅に係る登録免許税の軽減措置
登録免許税は、不動産の所有権保存・移転登記・抵当権の設定登記に係る登録免許税のことであり、納税額を軽減する措置です。
土地の売買や住宅に関する登録免許税の軽減措置は、要件がことなるため、注意しましょう。
また、登録免許税の軽減措置は、2023年度の税制改正によって、2024年3月31日まで適用期限が延長されました。
親の家を売る際の不動産会社とサービスの選び方
家の売却をする場合、依頼する不動産会社によって、売却金額が異なります。
不動産会社の規模や担当者だけでなく、サービス内容も併せて不動産会社を選びましょう。
下記からは、親の家を売る際の不動産会社とサービスの選び方について解説します。
不動産会社選びのポイント
不動産会社選びは、以下を意識して選ぶことがおすすめです。
- 実績の多い不動産会社
- 担当者の対応で
各項目について、詳しく解説します。
実績の多い不動産会社を選ぶ
不動産会社を選ぶ際は、売却実績の多い不動産会社を選びましょう。
売却実績が多いほど、過去のデータやノウハウを培っているため、高額売却に期待できます。
全国的に展開していたり、地方限定でも複数店舗を構えていたりする不動産会社は、実績データを共有している可能性が高いです。
担当者の対応で選ぶ
不動産会社を選ぶ際は、担当者の対応を見ておくことも大切です。
家の売却活動は、長期的になりやすいため、信頼できる担当者を選びましょう。
例えば、疑問や質問に対して解説をしてくれたり、レスポンスが早かったりするなど、担当者の対応はストレスがありません。
サービスの選び方
不動産売却の際には、以下のサービスを見て選びましょう。
- 充実した内容か見極める
- 見積もりサービス依頼をする
各項目について、詳しく解説します。
充実した内容か見極める
家を売る際は、不動産会社のサービス内容が充実しているかを見極めましょう。
売却におけるサービスを受けられなければ、売却活動を有利に進められないからです。
例えば、売却時の内覧に関することや水回りの修繕保証サービスなどを受けられると安心できます。
不動産会社ごとにサービス内容や充実さが異なるため、複数の不動産会社へ無料相談を行うことがおすすめです。
見積もりサービス依頼をする
不動産会社を選ぶ際は、見積もりサービスを依頼して、売却金額や内訳を確認しましょう。
大手の不動産会社では、買い取りに付随したサービスを取り揃えている場合があります。
即時買取サービスなどの利用で、査定価格にリフォーム代を上乗せした金額で売却可能です。
見積もりサービスを依頼することで、売却にかかる不安も少なくなるでしょう。
親の家を売却できない場合の対処法と空き家対策
親の家を売却できなかった場合に、放置して空き家にしたままでは、空き家対策特別措置法に基づいたペナルティや措置を課されます。
ペナルティには、罰金や行政による建物解体などがあるため、空き家対策を行うことが大切です。
親の家を売却できない場合の対処法と空き家対策は、以下の3つがあります。
- 「空き家」バンクからの募集
- 不動産売却代行サービスの利用
- 更地にして売却する
各項目について、詳しく解説しましょう。
「空き家バンク」から購入者を募る
家に売買需要がなかったり、不動産会社で売却できなかったりした場合は、「空き家バンク」から購入者を募りましょう。
空き家バンクとは、地域に特化した売買情報や賃貸情報を地方自治体が運営するHPで発信して、希望者を募るシステムです。
購入希望者が現れた後は、個人間で売買手続きを進めていきますが、自治体が紹介する不動産会社の利用もできます。
不動産売却代行サービスの利用
不動産売却代行サービスとは、体調不良などの理由により売却行動ができない所有者に代わり、司法書士が手続きを行うサービスのことです。
弁護士や司法書士は、法律に基づいて他人の財産管理や処分を行えます。
所有者の同意によって、売却・賃貸・処分など、不動産に係る手続きを司法書士が全て代行してくれるため、自分で動く必要はありません。
更地にして売却する
親の家が売れない場合は、更地にしてから売却する選択肢もあります。
更地後に土地を売り出せば、マイホームの土地探しをしている人・店舗などの土地を探している人などへ売却が可能です。
親の家を売る際のトラブル回避と手続きについて
親の家を売る際のトラブル回避と手続きは、以下のとおりです。
- 代償分割を行い家を売る
- 家を売ってから換価分割をする
- 財産の種類別に現物分割を行い家を売る
- 法定相続分通りに登記してから自身の共有持分のみを売る
各項目について、詳しく解説します。
代償分割を行い家を売る
代償分割とは、相続人の内1人が不動産を相続して、他の相続人に余剰分の代償金を渡す方法です。
代償分割は、不動産を単独で相続できるため、売却時に制限はありません。
例えば、資産価値が3,000万円の不動産と、預貯金1,000万円の遺産を兄弟2人で相続したとしましょう。
兄が1人で不動産の相続をした場合、弟は代償金として1,000万円を相続することになります。
家を売ってから換価分割する
家を売る方法には、公平性を保てる換価分割があります。
換価分割とは、家を売却した金銭を相続人同士で分割する方法であり、家の売却と遺産の分割が一度に可能です。
しかし、譲渡所得税や贈与税などがかかるデメリットもあるため、注意しましょう。
財産の種類別に現物分割を行い家を売る
家を売る方法には、財産の種類別に現物分割を行って売る方法があります。
現物分割とは、財産の種類別に相続人がそれぞれ遺産を相続することです。
例えば、2人兄弟の場合「家は長男」「預貯金は次男」という形で分けられ、実家の売却は相続人である長男が単独で行えます。
法定相続分通りに登記してから自身の共有持分のみを売る
家を売る方法には、法定相続通りに登記してから、自身の共有持分のみを売る方法があります。
不動産の共有とは、複数人で不動産を購入したり、複数名義人で家を相続したりして家を共同所有していることです。
共有持分のみの売却は、買取業者へ相談・依頼を行うと、売却がスムーズに進みます。
まとめ
親の家を売るためには、状況に応じた方法で売却をすることが大切です。
売却の際には、共有名義での相続や契約不適合専任などに注意しなければなりません。
また、親の家を高く売りたい場合は、不動産会社の実績やサービスなどを見て選ぶと良いでしょう。
親の家の売却を検討している人は、ぜひ参考にしてください。