マンション売却における確定申告の流れや注意点をわかりやすく解説コラム
「マンション売却の確定申告のやり方が分からない」
そのような悩みを持っている人も多いのではないでしょうか?
マンション売却では大きなお金が動くので、確定申告への不安も募りますよね。
確定申告に不備があると払う税金が多くなったり、税務署から連絡がきたりと面倒ごとが増えます。
今回は、マンション売却における確定申告の基礎知識や、手順について詳しく解説します。
確定申告を怠った場合のリスクについても解説しているので、これからマンション売却をする場合はぜひ参考にしてください。
マンション売却後の確定申告の基礎知識
マンション売却を始めるなら知っておくべき確定申告の基礎知識について紹介します。
本章で紹介するのは以下の3つです。
●確定申告が必要なケース
●確定申告を行うタイミング
●確定申告における3つの特例
マンション売却では、確定申告が必要な場合と不要な場合があります。また、確定申告で支払う税金を安く抑えるための特例もあります。
それぞれについて詳しく解説します。
確定申告が必要なケース
マンション売却において、確定申告が必要になるのは以下の2つのケースのどちらかにでも当てはまる場合です。
●利益が出た場合
●特例を利用する場合
マンション売却で得た利益のことを「譲渡所得」と言います。譲渡所得とは、以下の計算式で計算されます。
●(譲渡所得) = (売却額) ー (取得費)
取得費とは、物件の購入にかかった費用のことを指します。例えば、3000万円で購入したマンションが4000万円で売れた場合の計算式は以下になります。
●(譲渡所得:1000万円) = (売却額:4000万円) ー (取得費:3000万円)
譲渡所得には所得税と住民税がかかるため、正しく納税するために確定申告が必要です。
また、マンション売却では税金を安く抑えるための特例があります。
譲渡所得を控除する特例や、譲渡所得がマイナスだった場合に他の所得と損益通算する特例などがあります。
特例を利用する場合には、確定申告をする必要があります。
確定申告を行うタイミング
確定申告を行うのは、1/1〜12/31までの所得を翌年の2/16〜3/15に行います。
例えば、2024年の5月にマンション売却をしたら、2025年の2/16〜3/15に確定申告を行うのが一般的です。
具体的な確定申告の方法は後半で解説します。
確定申告では3つの特例がある
マンション売却の確定申告では以下3つの特例があります。
●3,000万円の特別控除の特例
●相続財産を譲渡した場合の特例
●マイホームを売却した時の軽減税率の特例
それぞれの特例には条件があります。また、併用はできません。
先述していますが、上記の特例を使う場合は確定申告が必要になるので、忘れずに行うようにしましょう。
確定申告に必要な書類と手続き方法
ここからはマンション売却の具体的な方法と必要な書類について解説します。
確定申告の流れは以下の通りです。
●Step1:確定申告に必要な書類を準備する
●Step2:譲渡所得税を計算する
●Step3:税務署に確定申告書類を提出する
それぞれのステップについて具体的に解説していきます。
Step1:確定申告に必要な書類を準備する
まずは確定申告に必要な書類を準備しましょう。確定申告で必要な書類は以下の通りです。
●譲渡所得の内訳書
●確定申告書B
●申告書第三表
上記の書類は税務署に行けば受け取れます。ただし、譲渡所得の内訳書は国税庁のホームページからダウンロードできます。
譲渡所得の内訳書に記載する内容は以下の通りです。
●物件住所
●売買契約日 / 引渡し日
●買主の住所 / 氏名など
●譲渡価額
●取得費
●譲渡費用の金額
必要な項目を入力し、提出するようにしましょう。
確定申告書Bと申告書第三表も必要な項目を記載して提出します。書き方がわからない場合は、税務署の人に相談してみてください。
Step2:譲渡所得税を計算する
必要な書類を揃えたら、譲渡所得税を計算します。
譲渡所得税を計算する際には、マンション売却で得た譲渡所得を計算する必要があります。
譲渡所得税を計算するには、まず売却益を計算します。売却益は以下のように計算します。
●(売却益)=(売却価格)ー(取得費)ー(売却経費)
取得費とは、マンションを購入する際にかかった費用のことを指します。取得費として計上できる主なものは以下の通りです。
●不動産会社へ支払う仲介手数料
●印紙税
●立退料・移転料
●不動産取得税
取得費を計算する時に重要なことは、マンションの価格には減価償却が適用される点です。マンションは年数に応じて価値が下がるため、買った時の価格をそのまま計算できるわけではありません。
取得費を計算したうえで売却益を計算しましょう。譲渡所得税は売却益と所有年数によって異なります。
計算方法が分からない場合や、不安な場合はマンション売却を依頼した不動産会社や税理士に相談するようにしましょう。
Step3:税務署に確定申告書類を提出する
譲渡所得税を計算したら、確定申告書類を税務署に提出します。
譲渡所得税の計算が誤っていると再提出が必要になり、手間がかかるので間違えないように何度もチェックするようにしましょう。
今回は自分で確定申告をする方法を紹介しましたが、不安な場合や手間をかけたくない場合は税理士に依頼をしましょう。
依頼の費用がかかりますが、確実に確定申告を行ってくれるので安心して任せることができます。
確定申告を怠った場合のリスク
マンション売却で譲渡所得が発生した場合や、特例を利用した場合は必ず確定申告が必要になります。
確定申告を怠ると以下のようなリスクがあります。
●延滞税が発生する
●重加算税が発生する
●無申告加算税が発生する
●過少申告加算税が発生する
それぞれの税金について詳しく解説をします。
延滞税が発生する
延滞税は、譲渡所得税を定められた期間までに支払わなかった場合に発生する税金です。
定められた期間を過ぎた日数に応じて延滞税が加算されます。
さらに、2ヶ月を超えると延滞税が大幅に上がるので、税金の納付は遅れないように注意しましょう。
重加算税が発生する
重加算税は、譲渡所得や売却益などの税金に関わる事実を隠ぺい・偽装した際にかかる税金です。
偽装した金額から本来支払うべき税金を計算します。そして、不足してる税金に対して35%が課税されます。
無申告加算税が発生する
無申告加算税は、確定申告を忘れてしまった場合に発生する税金です。
確定申告を忘れていた場合、必要な無申告加算税は払う必要のあった税金に対しての倍率で計算されます。
具体的には以下の通りです。
●〜50万円:15%
●50万円〜:20%
上記の金額が本来払うべき税金に上乗せされます。
例えば、本来払うべき税が30万円だった場合、15%にあたる4.5万円が無申告加算税になります。
払う税金が増えてしまうので、確定申告の漏れはないようにしましょう。
過少申告加算税が発生する
確定申告をしてても、納める金額が少なかった場合や、還付される税金が多過ぎる場合には、過少申告税が課されます。
過少申告加算税は、本来納めるべき税金を計算し直し、その税金に対して10%ほどが課税されます。
ただし、税務調査の前に修正申告をすれば、過少申告加算税は免除されます。税務調査の後に修正申告をした場合は、過少申告加算税が課されるので注意が必要です。
まとめ
今回は、マンション売却における確定申告について解説をしました。
マンション売却において、確定申告が必要なのは以下の2つのケースです。
●利益が出た場合
●特例を利用した場合
ここで言う「利益」とは、「売却額」から「取得費」を引いた時にプラスになった金額のことを指します。
また、マンション売却では税金を安く抑えるための特例が3つあります。
●3,000万円の特別控除の特例
●相続財産を譲渡した場合の特例
●マイホームを売却した時の軽減税率の特例
3つの併用はできないので、どの特例を使うのが効果的かはしっかりと判断しましょう。
実際に確定申告が必要になった場合は、以下の手順で確定申告を行います。
●Step1:確定申告に必要な書類を準備する
●Step2:譲渡所得税を計算する
●Step3:税務署に確定申告書類を提出する
確定申告を忘れると追加で払わないといけない税金が増えるため、隠ぺいしたり漏れがないように注意しましょう。
マンション売却では大きなお金が動くため、確定申告を誤ると追加で払わないといけない税金も大きくなります。
もし確定申告に不安がある場合は、税理士に依頼をしましょう。税理士に依頼すると費用がかかりますが、確実に確定申告を行えます。
本記事を参考に、確実に確定申告を行うようにしましょう。